音楽による英才教育について

音楽による英才教育について

 「音楽による英才教育」というと、それはもうはっきりと「プロの演奏家をめざす教育」という方向性を持つものになります。めざす本人はもちろん、親やまわりの大人たちにもかなりの覚悟が求められ、お金以外にもさまざまに必要なものが求められる行動です。
 ここでは、「いつごろから始めればいいのか」という問題から入り、成長のステージごとにどのようなことをすべきか、しなければならないか、ポイントを整理していきます。
 
1.いつごろから始めればいいのか
 音楽教育は、何歳くらいのときに始めるのがよいでしょうか。
 よく言われるのは、「プロの演奏家として大成したいのならば2~3歳から」という話です。
 はい。その年齢で始めればまったく問題ありません。ただ、「聴く力を育てる」という観点からは、もっと早く始めることもできます。
 
1.⑴新生児からできること
 ミルクをあげた後、赤ちゃんを寝かしつけるのはなかなかたいへんなことも。
 そういうとき、音楽を聴かせてみるという方法があります。すやすやと眠ってくれれば幸いですし、「聴く力」を育てることにもつながります。
 
・月齢が若ければ「胎内音」
 数ヶ月くらいまでの新生児には、「胎内音」も有効です。お母さんのお腹の中にいた頃に聴いていた音で、安心して休めるようです。
 
・子守歌
 赤ちゃんがもっとも長時間、聴いている音は何と言ってもお母さんの声です。やさしく声をかけるだけでも十分に「聴く力」と「言葉の力」を育てる効果があります。
 そのうえで、もし歌唱力に自信があれば、子守歌もきっと効果的です。
 
・ゆっくりめ、しずかな音楽
 グーグルやYouTubeなどで「赤ちゃん 音楽」といった感じで検索すると、けっこうたくさんヒットします。
 自然音を使ったものや、赤ちゃんの寝息が聞こえるもの、オルゴールや弦楽器などやさしい音で演奏しているものなど、大人が聴いてもリラックスできる曲が良いようです。口コミを見ると「1分で寝ました」など、効果てきめんのものが多くあります。
 なお、子守歌もたくさん見つかります。
 
 音楽的感性だけでなく、人間の思考や感情を支える大切な「ことばの力」も、こういった刺激によって成長をうながすことができます。
 
1.⑵適齢期はたしかに2~3歳だが……
 冒頭に書いたように、音楽の英才教育を始めるなら2~3歳が適齢期です。ただこれは、「多くのプロ演奏家のキャリアを見ると、だいたいその年齢から始めていることが多い」という、統計的指標でもあります。どうしてもその年齢でなければならないという科学的根拠はありません。
 むしろ、楽器によってはある程度の体格がないと扱えない場合があるでしょう。ピアノの鍵盤は、2~3歳児にとっては船の甲板のように広く感じられるでしょう。バイオリンには「分数バイオリン」といって幼児でも扱える小型タイプがあるのですが、ピアノとなるとそうもいかないのです。
 
 ですから、楽器の種類によっては4~5歳くらいに始めるというのも、考え方としてはアリでしょう。
 
 いずれにしても、最初はリトミック(ないしソルフェージュ)のように、楽器や歌と親しみ、遊びながら楽しく学べるレッスンから入りましょう。最初から厳しく教えるのは好ましくありません。音楽がきらいになってしまっては元も子もないのです。
 
1.⑶では「いつまでに」始めるべきなのか
 反対に、「遅くともこの年齢までには始めておきたい」という話もしましょう。
 この点については、「絶対音感」がひとつの柱になります。
 「絶対音感」はよく聞かれる言葉なので、ご存知の方も多いかもしれませんが、いちおう簡単にどういうものか書いておきます。
 要するに、「聞こえてくるあらゆる音を、音階として感覚できる」という音感です。人間には「絶対音感」と「相対音感」がありますが、「相対音感」はある音と音を聞き比べてどちらが高いか低いかを判断する音感です。これに対し、絶対音感は比較する音なしに音の高さを音階で聞き取れるというものです。
 
 この絶対音感を持つ人の話によると、日常生活のあらゆる音が音階になって聞こえるので、時々不愉快な気分になることもあるそうです。しかし、プロの音楽家をめざすにあたっては、持っていた方が有利であることは明らかです。
 
 この絶対音感は、小さい頃に音楽教育を受けないと身につけることはできません。人間の脳は、特に10歳くらいまでに脳細胞が激増し、神経のネットワークが構築されていきますが、ある程度まで構築されると、別の新しい思考や判断、動作に習熟することが難しくなります。
 絶対音感の場合、脳科学的には「7歳まで」なら間に合うとされています。だいた7歳くらいで、耳(聴覚)の神経ネットワークができあがるのです。その構築の途中であれば、絶対音感を身につけることができる、というわけです。
 
■まとめ
 というわけで、音楽による英才教育はいつ始めたらいいかについては、「基本的に早ければ早いほどよい」ということになりますが、「だいたい5歳前後でも大丈夫」という見当になるでしょう。

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